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田山祐智

MOKIストーブの改造(?)を試みる その2

前回、耐火レンガを使って排気量を調整してみましたが、どれもが不完全燃焼に終わりゆっくりどころかまともに燃やすこともできませんでした。

まずは冷静に、MOKIはどうなって二次燃焼が起きているんだろう…?と考えてみた結果、

2月に投稿した記事『【MOKI】モキストーブの暖かさの仕組みを知る その2-2:二次燃焼』に書いたように、MOKIの二次燃焼はモキプレート間の高温環境下での相互燃焼によって引き起こされていることを確信しました。

ただこれはMOKIのストーブで起きている現象の説明にしかすぎません。

他社のストーブでは、触媒を通すことで、あるいは予熱空気を炉内に吹き込むなどの方法で二次燃焼を起こしています。

方法は何でもいいんです。

要は単純に、『温度を高めれば二次燃焼は起きる』。それだけのことです。

また、自然発火させるような温度でなくても、火源があればそこまでべらぼうに高温でなくても再燃焼は可能です。

これはもともと学校で科学の授業で「発火点」と「引火点」という言葉を習っていたので、別に新しい気付きでも何でもありません。

その本質を踏まえてMOKIに当てはめるとどういうことなのか?

単にこういうことですね。

うん、だいぶ見えてきました。

MOKIの場合、煙が見えなくなるように焚くには最初から薪をガンガンとくべる宿命があります。

一気に高温化して二次燃焼を引き起こすためにはそうする必要があるからです。

だから、

給気→排気までのストレス(抵抗)が無い構造をしているし、

茂木プレートに穴を空けて熱伝導を早めているんですね。

逆に、そうした燃やし方をせざるを得ないからこそ、必然的に温度の立ち上がりは早くなるし、ボディの薄さのおかげで早く熱を室内へと届けてくれる。

すべてが理にかなった話です。

これじゃ排気経路や給気経路を変えてしまったら温度が上がらず二次燃焼できないわけだ。

なんかMOKIストーブの全部を理解した気になりました。(勝手に)

--- ここからようやく本題 ---

理屈が分かればさっそく問題も見えてきます。

MOKIの二次燃焼室は、温度を上げるには容積が大きすぎる。

そう思いました。

煙突へと真っすぐ抜けるだけのただただ冗長な空間ですので、ここを500℃以上まで温めるには相当な熱量が必要なのは想像に難くありません。

これでは薪の消費が早いはずです。

☆必要なのは熱エネルギーの集中

それなら、炎を一か所に集めればそんなにたくさん燃やさなくても安定して高温環境が作れるはずです。

この確信にも似た仮定を得て、オリジナルプレートの構想に入りました。

幸い、茂木プレートは簡単に取り外し可能になっているので、これを交換すれば好きな形で作れそうです。

あれ・・・?

外したけど思ったより自由になる面積少ないな・・・。

しょうがないからこの空いた空間で出来るだけの工夫を考えます。

まずは既存の寸法を起こして…

重ね合わせながら既存の部材にぶつからないように配置を設計して…

設計完了。

あとは寸法線と溶接記号を書き加えて鉄工所に依頼すれば…

完成。^^

早速ストーブに装着。

熱エネルギーを完全に集中させるため、もともとあった無数の穴は大胆にもすべてめくらにしました。

その分排気量が減ると思われるので、プレート下部には少し立ち上げを作って炎を誘導しやすくしています。

一箇所だけ穴を残したのは、炎の色を確認するための覗き穴です。

計算通りにいけば火柱が長く伸びるはずなので、ここから炎をうかがうことができるはずです。

ねらうイメージはこう。

熱エネルギーを集約させるため、中央のプレートより裏には火が向かわないように灰で土手を作って流れを遮っています。

また、二次燃焼室へと流れ損ねた炎と熱は、プレートに跳ね返って強制的に内部へと対流します。

これによって燃焼室内部は長く高温を維持し続けてくれるようになる寸法です。

さて! 燃やしてみた結果は・・・!?

おお~っ普通に燃えてる。まずはよかった。

二次燃焼も早い段階でしっかり起こして、煙が見えなくなるタイミングもノーマルと大差なし。

最初の焚き付け位置を奥でやらないとドラフトの発生が遅いのでそこだけ注意が必要。

それ以外の使い勝手はノーマルと何ら変わりなし。

あと、穴がなくなったことでノーマルの時と違って炎が上に向かって伸びやすくなった。

つまり、燃焼室上部へと熱が溜まりやすくなっているので、

天板手前でもこの温度。

MOKI使ってる人なら、この部分を350℃まで持ってくるにはかなり焚かないといかないのが分かるはず。

でもこのオリジナルプレートに換えてから、本体の温度分布の差がかなり減って平均的になりました。

とくに数値データを追っているわけではないのでどう良くなったかは証明できませんが、体感的にはノーマルよりは長く温度を保ち続けることができていると感じます。

ただ、これを製作してもらうのに結構な金額がかかったので、費用対効果はかなり悪いですからおすすめしません。

個人的には理論の立証と実験での検証ができたことで満足したので大OKです。

そして、今回の事で得た知見をもとに、薪ストーブ熱はさらなるステップへ……

次回、『オリジナル薪ストーブの構想を練る』

まだ設計図を起こしてないからアップはしばらく後になるかもしれませんが、アイデアノートを毎日寝る前につけて構想を温めています。。。

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